小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 五十七 2018年6月1日

 法悟空 内田健一郎 画 (6387)

 一月二日、会長の秋月英介と理事長の森川一正が登山し、日顕との話し合いを求めたが、拒否された。その後も宗門は、学会に対して、「目通りの儀、適わぬ身」などと対話を拒絶し続けた。
 十二日付で、宗門から文書が送られてきた。
 実は、宗門の「お尋ね」のなかで、山本伸一の発言だとして詰問してきた引用に、幾つかの重要な誤りがあった。また、明らかに意味を取り違えている箇所や、なんの裏づけもない伝聞に基づく質問もあった。
 この文書は、学会が、それを具体的に指摘したことに対する回答であった。宗門は、数カ所の誤りを認めて撤回した。それにより、主張の論拠は根底から崩れたのである。
 しかし、彼らは、学会への理不尽な措置を改めず、僧俗の関係についても、「本質的に皆平等であるとし、対等意識をもって僧俗和合を進めるなどというのは、大きな慢心の表われであると同時に、和合僧団を破壊する五逆罪に相当するもの」とまで言っているのだ。もはや看過しておくわけにはいかなかった。日蓮仏法の根幹を歪め、世界広布を根本から阻む元凶になりかねないからだ。
 学会としては、公式謝罪を強く要求した。また、「お尋ね」文書の引用には、このほかにも重要な誤りがあることを学会は指摘しており、それについても回答するよう求めた。
 宗門は、学会の再三にわたる話し合いの要請を、ことごとく拒否してきたが、大聖人は「立正安国論」で「屢談話を致さん」(御書一七ページ)と仰せのように、対話主義を貫かれている。すべての人と語り合い、道理をもって、理解と共感と賛同を獲得していくことを教えられている。武力や権威、権力など、外圧によって人を屈服させることとは対極にある。
 対話は、仏法の人間主義を象徴するものであり、それを拒否することは、大聖人の御精神を否定することだ。学会が広布の花園を大きく広げてきたのも、家庭訪問、小グループ、座談会など、対話を中心とした草の根の運動を積み重ねてきたからにほかならない。

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