名字の言

〈名字の言〉 2018年6月1日  外国の街の広場。初老の男性がベートーベンの“第九”を弦楽器で弾き始める。

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 外国の街の広場。初老の男性がベートーベンの“第九”を弦楽器で弾き始める。曲が進むにつれ、楽器を手にした老若男女が少しずつ加わり、音に厚みを増していく。最後はフルオーケストラでの演奏となった▼この「フラッシュモブ」と呼ばれる集団パフォーマンスを動画サイトで見た。映像では聴衆の輪もだんだんと広がり、終盤の合唱では見物客も歌声を重ねた。演奏が終わるや、皆が笑顔でたたえ合っていた▼先日、ある会合で同様の演出があった。登壇した壮年リーダーが話の中で「婦人部の皆さんへ日頃の感謝を込め、『母』を歌います」と一言。伴奏が流れ、壮年は歌い始めた▼すると数秒後に壇上の壮年が数人、その数秒後に場内のあちこちに座る男子部メンバーらが次々と立ち上がって歌に加わった。実は演出はここまでだった。ところが場の雰囲気にも押され、最後は会場の壮年・男子部全員での合唱に。婦人部の友の瞳に美しい涙が光る一幕となった▼あの時、会場の男性の皆を立ち上がらせた力は何か。リーダーの「真心」と、場内を包んだ「感動」だろう。御書に「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり」(1360ページ)と。一人立つ情熱から広布の大感動は広がる。(代)