法悟空 内田健一郎 画 (6385)
宗門の「お尋ね」と題する質問文書に対して、学会は、十二月二十三日、「あくまでも話し合いで、理解を深めさせていただきたい」との返書を送った。併せて、僧俗和合していくために、これまで思い悩んでいた事柄や疑問を、率直に、「お伺い」することにした。それは、秋月英介が山本伸一と共に対面した折の法主の話や、僧たちの不謹慎な言動など、九項目に及んだ。
二十六日付で宗門から書面が届いた。
「『お伺い』なる文書をもって、事実無根のことがらを含む九項目の詰問状を提出せられるなど、まことにもって無慙無愧という他ありません」「一一・一六のスピーチについては、文書による誠意ある回答を示される意志が全くないものと受けとめました」
翌二十七日、宗門は臨時宗会を開き、宗規の改正を行った。改正された宗規では、これまで任期のなかった総講頭の任期を五年とし、それ以外の役員(大講頭ら)の任期を三年とした。また、「言論、文書等をもって、管長を批判し、または誹毀、讒謗したとき」は処分できるとなった。
この変更された宗規は、即日施行され、それにともない、「従前法華講本部役員の職にあった者は、その資格を失なう」とあった。つまり、総講頭の伸一も、大講頭の秋月や森川一正らも、資格を喪失することになる。
宗門の狙いは、明白であった。宗規改正を理由に、伸一の宗内における立場を剝奪し、やがては学会を壊滅させ、宗門の権威権力のもとに、会員を隷属させることにあった。
宗門は、総講頭等の資格喪失について、二十八日にはマスコミに伝えていた。本人に通知が届く前である。
伸一は、暮れも押し詰まったこの日、中国・敦煌研究院の段文傑院長と聖教新聞社で対談を行い、仏法の民衆根本の精神などをめぐって語り合った。周囲は騒然としていた。しかし、平和と文化の創造をめざし、世界の識者との対話を着実に重ねた。人類の未来を思い、信念の軌道を突き進んでいった。