法悟空 内田健一郎 画 (6463)
山本伸一は、プトラ大学からの名誉学位記の授与に、深い意義を感じていた。マレーシアはイスラム教が国教であり、その国の国立大学から仏法者の彼が顕彰されたのである。
それは、平和のため、人類の幸福のためという原点に立ち返るならば、宗教を超え、人間として共感、理解し合えることの証明であり、イスラムの寛容性を示すものであった。
人間と人間が分断され、いがみ合う時代にピリオドを打つために、二十一世紀は、宗教間対話、そして文明間対話がますます重要となろう。
なお、彼は、二〇〇九年(平成二十一年)にマレーシア公開大学から、そして、翌一〇年(同二十二年)には国立マラヤ大学から、名誉人文学博士号が贈られている。
伸一は、十一月三十日、マハティール首相と首相府で、二度目となる会見を行った。
「青年こそ宝」――二人は、未来に熱い思いを馳せつつ語り合った。
十二月一日、伸一は、マレーシア創価幼稚園を初訪問し、引き続きマレーシア文化会館での世界広布四十周年を記念するSGM(マレーシア創価学会)の代表者会議に出席した。
熱気に満ちた大拍手が会場に轟いた。
SGMは目を見張る発展ぶりであった。伸一の入場前、理事長の柯浩方は叫んだ。
「皆さん! 私たちは勝ちました!」
国家行事で誰もが驚嘆した五千人の人文字、独立記念日を荘厳してきた青年部のパレード・組み体操、社会貢献の模範と謳われる慈善文化祭、女性の世紀の先駆けとなった婦人部・女子部の「女性平和会議」……。
そこには、「仏法即社会」の原理に生きる信仰者の、深い使命感からの行動があった。
理事長は語っていた。
「ただただ、真心で、誠心誠意やってきたからです。瞬間、瞬間、『今しかない』と」
伸一はこの日のスピーチで、「『心の財』こそ三世永遠の宝」「幸福の宮殿は自身の中に」と訴え、また、句を贈った。
「世界一 勝利の都 マレーシア」