小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 五十三 2018年5月28日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6383)

 日顕は、大石寺開創七百年慶讃大法要で、初会第一日の説法でも、第二日の慶讃文でも、創価学会の功績を讃えた。なかでも、説法では、「特に、近年、信徒団体創価学会の興出により、正法正義は日本ないし世界に弘まり」と絶讃したのである。
 山本伸一は、初会が終わると、その足で愛知指導に赴き、そして、十二、十三日と再び総本山での慶讃大法要・本会に出席した。
 本会第二日には、日顕から伸一に、開創七百年の慶讃委員長として記念事業の推進にあたり、外護の任を尽くした功績は誠に顕著であるとして、感謝状並びに記念品の目録が贈られている。
 日顕らの学会破壊の謀略が実行に移されたのは、それから間もなくのことであった。
 慶讃大法要を終えた伸一は、各国の識者との語らいに余念がなかった。トルコ・アンカラ大学のネジデット・セリーン総長夫妻、平和学者のヨハン・ガルトゥング博士や、ニューヨークの国際写真センターのコーネル・キャパ理事長夫妻、ヨーロッパ最古の大学であるイタリア・ボローニャ大学のファビオ・ロベルシ・モナコ総長らとの会見が続いた。
 東西冷戦が終結の時を迎えた今こそ、二十一世紀へ向かい、新しい平和の橋を架けようと、真剣勝負の日々であった。
 十二月十三日、伸一は、ノルウェーのオスロ国際平和研究所のスベレ・ルードガルド所長と聖教新聞社で会談した。
 語らいでは、所長が提案している「環境安全保障」が大きなテーマとなった。これは、環境問題と軍縮問題をセットにした安全保障の構想である。
 伸一は、仏法の「依正不二」の原理などを紹介し、環境破壊や飢饉、疫病、戦争という社会の混乱は、人間の善性を毒する「生命の濁り」に根本原因があると指摘。「生命自体を変革し、浄化していくなかに、平和への確かな道があり、仏法を基調にした、その“人間革命”の実践が、SGIの平和・教育・文化運動の根幹になっています」と訴えた。