沖縄の離島・座間味村は今も夏のハイシーズン真っただ中。観光客は年々増加し、年間で10万人を超える▼にぎわう座間味港の一角に、ひっそりとたたずむ石碑がある。刻まれている文字は「太平洋戦争沖縄戦上陸第一歩之地 昭和二十年三月二六日午前九時上陸」。第一歩とは、米軍が最初に上陸したことを指す。その日、島の小学校では卒業式が行われる予定だった。晴れの門出を目前に、永久の別れとなった児童もいたという▼当時、小学生だった一人が、後に広宣流布の闘士となった。座間味に念願の地区が誕生したのは2000年。彼は初代地区部長として奔走した。小説『人間革命』が沖縄で書き起こされた誇りを胸に、86歳の天寿を全うするまで「ぬちどぅたから(命こそ宝)の精神を、ぬちかじり(命の限り)広め抜く」と▼石碑のそばにある広布の会場で先日、座談会が行われた。会場には本土から移住し、カフェを営む若い夫婦の姿も。夫は未入会だが『人間革命』を読み、感銘を受けたと語る。「この島の歴史も、生命の尊さも、学会の皆さんから学びました」▼最も苦しんだ沖縄を、最も幸福に――池田先生が沖縄に「第一歩」をしるした時の誓いである。その一歩に続く友が、あの島にも、この地にもいる。(之)