法悟空 内田健一郎 画 (6364)
山本伸一は、マンデラ副議長の行動は、広い意味での人間教育者の役割を担ってきたと述べ、その功労に対して、創価大学から最高栄誉賞を贈りたいと伝えた。そして、同席していた学長から同賞が副議長に手渡された。
さらに、伸一は、南アフリカ共和国は「花の宝庫」と呼ばれ、喜望峰一帯では七千種を超える植物が育っていることに触れ、仏典の王・法華経には、「人華」という美しい言葉があることを紹介した。
「人華」の語は、法華経の「薬草喩品」にあり、この品では、さまざまな衆生を多様な草木にたとえながら、仏の教えの慈雨は遍く降り注ぎ、平等に仏性を開花させることを説いている。
この法華経に代表されるように、仏教は発祥以来、あらゆる差別と戦ってきた。カースト制度をはじめ、人種、民族、国籍、宗教、職業、階層、出自等々による一切の差別を否定している。それゆえに、既成の体制や権力から、無数の迫害を受けた。日蓮大聖人も自らを「旃陀羅が子」と言われ、差別される側である、社会の最底辺に身を置きながら、絶対平等の仏法思想の流布に戦われた。
伸一は、こうした、いわば仏法の人権闘争の歴史と精神を踏まえ、SGIは、仏法を基調に、あらゆる人びとに開かれた「平和」「文化」「教育」の運動を推進するものであることを訴えた。さらに、未来を展望する時、国家発展の因は、「教育」であり、知性の人が増えることは、「より多くの人びとが社会の本質を見抜き、『善』と『悪』とを明確に判断できるようになる」と語った。
また、人権闘争の英雄である副議長に、尊敬と賛嘆の思いを込めて一詩を捧げた。
「私は もろ手をあげて称えたい
その偉大なる精神の力を
その不撓なる信念の力を
そして
満腔の敬意をもって呼びたい
誇り高き『アフリカの良心』にして
人道の道を行く我が魂の同志――と」