法悟空 内田健一郎 画 (6363)
山本伸一がマンデラ副議長の功績を讃えると、副議長は応じた。
「温かい歓迎に感謝します。名誉会長は、国際的に有名な方で、わが国でもよく知られています。人類の『永遠の価値』を創りながら、その価値で人びとを結ぶ団体のリーダーとしての役割は、世界的に重要です」
そして、「名誉会長とSGIのことを聞いて以来、私は、ぜひ、お会いしたいと願っていました。日本に来た以上、お会いするまでは帰れません」と述べ、微笑みを浮かべた。
それから、目を輝かせて言った。
「名誉会長との会見は、『啓発』と『力』と『希望』の源泉と思っています」
偉大なるリーダーは、対話を大切にし、そのすべてを、前進の糧としていく。
伸一は、恐縮しながら、マンデラ副議長が出獄以来、世界を東奔西走して、反アパルトヘイト(人種差別撤廃)運動への支援を訴えていることを賞讃した。副議長は、アフリカや欧米等の約三十カ国を訪問し、各国首脳と会談。さらに、アジア、オセアニアを巡っているのである。
伸一は、反アパルトヘイトの運動を、末永く支援する意味から、次々と提案した。
「アフリカ民族会議からの、アフリカの未来を担う留学生を、創価大学が受け入れる」「南アフリカの芸術家などを招き、民音での日本公演を行いたい」「仮称『アパルトヘイトと人権』展という総合的な展示会を開催し、しかるべき国際機関とも連携し、海外での巡回も行う」「仮称『反アパルトヘイト写真展』を日本で開催する」「アパルトヘイトをはじめとする多様なテーマで、『人権講座』を日本各地で開催する」
それは、教育・文化交流を通して、日本と南アフリカの友好を促進するとともに、人びとの意識を啓発し、日本に、世界に、人権擁護の波を大きく広げていくことが大切であるとの、強い思いからの提案であった。
人びとの意識の改革がなされてこそ、「人権の世紀」は開かれる。