小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 九十六 2018年7月19日

 法悟空 内田健一郎 画 (6426)

 ブラジル文学アカデミーが、“文化・文学の偉大なる保護者”と認める在外会員には、ロシアの文豪レフ・トルストイ、フランスの人道主義作家エミール・ゾラ、イギリスの社会学者のハーバート・スペンサーなど、知の巨人たちが名を連ねてきた。
山本伸一は、日本人としても、東洋人としても、初めての在外会員となる。
就任式には、アントニオ・オアイス文化大臣(大統領代理)をはじめ、ブラジル各界の著名な識者、文化人らが出席した。また、イタマル・フランコ大統領からも祝福のメッセージが寄せられた。
さらに、席上、「マシャード・デ・アシス褒章」が伸一に贈られた。文学アカデミーの初代総裁となったマシャード・デ・アシスの名を冠した、この褒章は、“世界的業績を残した文化人”に対して、特別に授与される同アカデミー最高の栄誉章とのことであった。
伸一は、在外会員就任を記念し、「人間文明の希望の朝を」と題して講演を行った。
――科学技術の発達に伴い、地球一体化が進む現在、宗教は、人間の精神性を陶冶し、善きものへと高めながら、新たなコスモス(調和の世界)形成の基盤となっていかねばならない。そうした開かれた宗教性こそが、二十一世紀の地球文明のバックボーンとなるであろう、と訴えた。
この式典には、ブラジルの新聞各社が取材に訪れており、伸一の在外会員就任と記念講演を報道した。
彼は、ブラジル文学アカデミーをはじめ、ブラジルでの顕彰は、SGIメンバーの社会貢献と、学会理解への着実な努力の勝利であると思った。かつては、学会への誤解と偏見から、伸一の入国さえ許可されないことがあったが、今、南米最高の知性の殿堂から最高の評価と深い信頼を得て、在外会員となる時代になったのである。目立たぬ日々の奮闘の積み重ねが、社会を動かしていく。
伸一は、一人ひとりの同志を心から讃え、「ブラジル万歳!」と叫びたかった。

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