南アフリカではきょう4月27日は「自由の日」。アパルトヘイト(人種隔離)が撤廃された同国で24年前のこの日、初の全人種選挙が実施された。翌月、大統領に選出されたのがネルソン・マンデラ氏である▼氏がロベン島に投獄されていた時、人種差別撤廃への動きが遅々として進まないことに、仲間からいらだちの声が上がった。だが氏は諭した。「我々の戦いは長期戦だ。長期的で幅広い視野を持って行動すべきなのだ」▼長期的視点――氏はよく、この言葉を使った。それは「忍耐」を意味していた。氏の獄中闘争は27年半に及んだ。なぜ耐え抜くことができたのか。氏は語っている。「いつかふたたび土を踏み締め、太陽の下を自由民として歩ける日が来ると、わたしはいつも信じていた」(『自由への長い道(下)』東江一紀訳、NHK出版)▼忍耐とは、未来は必ず開けるとの希望を手放さず、力強く生き抜くことである。その希望とは、与えられるものではなく、自ら生み出すもの――氏の生き方は、そう教えてくれる▼初代会長の牧口先生は、法難の獄中にあっても、「心一つで地獄にも楽しみがあります」と家族に、はがきを書き送った。身体の自由は奪えても、心の自由を奪うことはできない。そして、希望ある限り、自由はある。(芯)