大白蓮華巻頭言

大白蓮華 2018年(平成30年)3月号(No.821)

スポンサーリンク
励ましが奏でる「春の曲」を

池田大作

「冬は必ず春となる」(1253ページ)

御本仏・日蓮大聖人が贈ってくださった一言(いちごん)は、人類の心に太陽を昇(のぼ)らせゆく励(はげ)ましである。
どんなに厳(きび)しい宿命(しゅくめい)の冬にも負けない勇気と、何としても喜(よろこ)びの春を呼ぶ希望の光源が、ここにある。
この励ましの陽光(ようこう)を、来る日も来る日も、皆の心へ届(とど)けているのが、誉(ほま)れの創価家族である。

草創期、東北のけなげな女子部の友から、「どうすれば世界広布の役に立てますか?」と真剣(しんけん)な質問を受けたことがある。「そう悩む心それ自体が、仏の心だよ」と讃(たた)えつつ、私は申し上げた。
「目の前の一人を真心こめて励ますことから、すべては始まる.そこから、必ず道は開ける」と。

「一人」の生命は、かけがえのない宝塔(ほうとう)である。
その一人が、「十界互具(じっかいごぐ)」「百界千如(ひゃっかいせんにょ)」「一念三千(いちねんさんぜん)」の尊極(そんごく)の仏(ほとけ)の当体に他(ほか)ならない。

ゆえに一人を励ますことは、地域を変え、国土を変え、未来までも変えて、わが師・戸田城聖先生が夢見た「人類の境涯」を高めゆく、最も地道(じみち)にして最(もっと)も着実(ちゃくじつ)な仏の大聖業(だいせいぎょう)なのである。

御聖訓には、一字一句(いちじいっく)をも之(これ)を聞(き)きし人(ひと)仏(ほとけ)にならざるはなし」(1046ページ)と仰せである。
この御本仏のお心のまま、一人一人の仏性(ぶっしょう)を信じ抜いて、諦(あきら)めず、退(しりぞ)かず、たゆまずに、わが地区で、わがブロックで、励ましに徹(てっ)し抜(ぬ)いてきたゆえに、今日の世界広布の壮大な広がりがあるのだ。

今日もまた
万の力を
贈りゆけ
励まし王者は
声も惜しまず

いずこの天地にも、創価の励ましの達人がいる。
一人一人の個人指導、一軒一軒の家庭訪問という仏道修行(ぶつd)をやり切ってきた多宝(たほう)の父母たちは、何という尊貴(そんき)な生命の輝(かがや)きを放(はな)っていることか。
たとえ、その時は相手(あいて)の心に響(ひび)いていないようでも、あとになって「あの励ましがあったからこそ」と感謝(かんしゃ)されることも、多々あるものだ。

「人がものを教えるというのは、車が重かったとしても油を塗(ぬ)ることによって回り、船を水に浮(う)かべて行きやすくするように教えるのである」(1574ページ、通解)。この御書に示された人間教育の極意(ごくい)を学びながら、皆がいよいよ心軽(こころかろ)やかに前へ前へ進めるよう、誠実(せいじつ)に祈り、聡明(そうめい)に対話を重(かさ)ねていきたい。

「自他不二(じたふに)」なるがゆえに、友を励ますことは、自分を励まし、お互(たが)いの仏性を強めることである。
大聖人は、女性の門下(もんか)を励まされた際(さい)、「日蓮よりも強盛(ごうじょう)の御志(おんこころざし)どもあり」(1126ページ)とまで賛嘆(さんたん)されている。この御振る舞いを拝(はい)し、励ましとは、その人を尊敬(そんけい)し、その人に学ぼうとする一念(いちねん)から出発(しゅっぱつ)すると、私は心に期(き)してきた。

人と人の絆(きずな)が引き裂(さ)かれる「闘評言訟(とうじょうごんしょう)」の悪世(あくせ)にあって、奇跡(きせき)の如く、あらゆる差異(さい)を超えて、幸(さち)と平和の大連帯を広げゆくのが、創価の励ましである。
今この時に躍(おど)り出てくれた不思議な地涌(じゅ)の若人たちを、いやまして励まし、歓喜(かんき)と栄光の「春の曲」を明るく賑(にぎな)やかに奏(かな)でゆこうではないか!