名字の言

〈名字の言〉 2022年6月15日 「朝焼小焼だ/大漁だ/大羽鰮の/大漁だ。/浜はまつりの/ようだけど/海のなかでは/何万の/鰮のとむらい/するだろう。」

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「朝焼小焼だ/大漁だ/大羽鰮の/大漁だ。/浜はまつりの/ようだけど/海のなかでは/何万の/鰮のとむらい/するだろう。」(『金子みすゞ童謡全集』JULA出版局)▼金子みすゞさんの詩「大漁」。人間の側から鰯の側へと移るまなざしに驚く。この作品から「世の中は全て“二つで一つ”ということ」を理解したと語るのは、詩人の矢崎節夫さん。生と死、光と影、喜びと悲しみ、目に見えるものと見えないもの……▼矢崎さんは「人間の心も同じ」と続ける。例えば、子どもの心は黒と白で一つになった灰色の状態であり、「灰色という状態だから、白くもなれば黒くもなる。どちらの色が支配的になるかは、周りの大人の責任です」▼池田先生と対談した歴史学者トインビー博士の洞察を思い出した。「偉人であろうと小人であろうと、人間の魂はいずれも、善と悪とが支配権を争って絶えず戦っている、精神的戦場である」(長谷川松治訳)▼日蓮大聖人は生命を鏡に譬え、苦悩する生命を闇鏡、悟りの生命を明鏡の状態と示された。生命の鏡を曇らせないためには「深く信心を発して、日夜朝暮にまた懈らず磨くべし」(新317・全384)。題目を朗らかに唱え、弱い心に負けない自分を貫きたい。(革)