声の働きが人間の理性や意識ではどうにもならない奥深い生命の次元に及んでいる。
「おい!」と呼ばれたとき、即座に振り向く--これは理性や意識ではどうすることもできない問題です。われわれは通常、あまり、声の働きに注意しませんが、よくよく考えてみれば、われわれの発する声が自身の生命はもとより他人の生命をも動かす大きな働きをもっていることを知ることができます。
単なる怒声や呼びかけや決断の声ですら、人間の心の奥底を動かすのです。問題は、人間に心の底から生きる喜びと生命力を与える声は何かということです。それこそ、人間と宇宙を支える法則と力である南無妙法蓮華経を発する声なのです。
ひとたび、正しい信仰の対象である本尊に向かって、南無妙法蓮華経の七文字を声に出して唱えるとき、その声の働きにより、唱える人自身の生命を揺り動かし、その人の全人格は根底から全く新しくなるのです。
つまり、自身の生命にもともと具わっている仏の境涯が疋引き出され、その人の実感となるのです。今まで感じたことのない力強い生命力を感ずるのですから、根底から全く新しい人生が開けるのは当然といえるでしょう。