65年前の「二月闘争」。その最中、青年部による第1回の教学の研究発表会が開催された。この席上で、戸田先生は初めて「地球民族主義」との言葉を用いた▼東西陣営が激しく対立し、不信が渦巻いていた時代。恩師は一人一人の根本的な意識変革によってこそ、人間を分断するイデオロギーの壁が破られ、地球上から悲惨の二字を無くすことができると考えたのである▼戸田先生は「地球民族主義」について、発表会の場では一言も説明を加えなかった。思想の意義を示し、宣揚し続けたのは池田先生である。本年の「SGIの日」記念提言では「地球民族主義」について、「『誰も置き去りにしない』という、国連が現在、国際社会を挙げて成し遂げようと呼び掛けているビジョンとも響き合う思想」と位置付けている▼「地球民族主義」を実現するための具体的方途は「対話」である。地球には、一人として同じ人間はいない。それぞれが、かけがえのない固有の文化の中に生きている。だからこそ、“同じ地球に生きる人間”という共通項を手放さず、胸襟を開いて語り合うことだ▼自国優先主義が拡大する世界にあって、仏教の万人尊敬の教えに根差した対話の哲学が、今ほど求められる時はない。足元から挑戦を開始したい。(芯)