法悟空 内田健一郎 画 (6460)
山本伸一は、二十五日、シンガポール創価幼稚園を訪れた。幼稚園の訪問は二度目だが、タンピネスの新園舎は初めてである。
伸一と峯子に、園児の代表から花束が贈られた。彼は、「ありがとう!」と言いながら、一人ひとりの手を握っていった。喜びの声をあげる子もいれば、はにかむ子もいる。
「皆さんとお会いできて嬉しい。皆さんの作品を収めたアルバムを、昨日、見せていただきました。みんな上手でした」
子どもたちは、日本語で、かわいい合唱を披露してくれた。小さな体を左右に大きく揺らしながらの熱唱である。伸一も、一緒に手拍子を打った。
「日本語も上手だね」
皆の顔が、ほころぶ。
その光景を見ていた園長が感想を語った。
「子どもたちの表情が、瞬間で変わるのがわかりました。“自分は愛されているんだ”という満足そうな表情でした」
園内には、英語で書いた、園児のメッセージカードも張り出されていた。
「先生は世界平和をつくっています。だから、ぼくはパイロットになって、みんなをいろんな国に連れていきたいです」
「先生は、はたらきすぎです。いつもありがとう。先生の愛情にこたえるために、私もいっしょうけんめいお勉強します」
伸一は、峯子に言った。
「ありがたいね。二十一世紀が楽しみだ」
彼は、未来に懸かる希望の虹を見ていた。
伸一たちは、幼稚園に続いて、SSA(シンガポール創価学会)の本部を初訪問し、世界広布四十周年記念大会に出席した。
ここでは、「但南無妙法蓮華経の七字のみこそ仏になる種には候へ」(御書一五五三ページ)との御文を拝して訴えた。
「何があっても御本尊を信じ、題目を唱え抜くことです。御本尊を、母と思い、父と思い、嬉しいことも、苦しいことも、全部、話していけばよい。心の丈を、ぶつけてゆけばよい。必ず全部、御本尊に通じていきます」