19世紀初め、琉球(沖縄)を訪れたイギリス人が、航海記に“平和を愛する礼儀正しい人々の振る舞いに感動した”とつづった。それを伝え聞いたナポレオンは“武器を持たない国があるのか”と驚嘆したという▼礼を重んじる沖縄で今、ブームになっているのが「空手」。競技人口は世界で5000万人ともいわれ、野球や柔道を上回る。2020年の東京五輪では正式種目にもなった。沖縄県庁には一昨年、「空手振興課」が設置され、昨年3月に「沖縄空手会館」がオープン。今月上旬、第1回沖縄空手国際大会が開催され、50カ国・地域1200人の空手家が技を競った▼もともと琉球には「手」という武術があった。中国や東南アジアの国々と交流するうちに中国拳法と融合し、「空手」が誕生したとされる。空手には“力強いイメージ”があるが「空手に先手なし」という教えがある通り、心技両面で「先手非道」を説く。「和」と「礼」を重んじる沖縄の心が脈打つ▼琉球という小国がアジア諸国と対等に交易できたのは、島国という地理的条件もあろうが、「礼」などのソフトパワーを生かしたからだろう▼「沖縄には、平和への深き使命がある。歴史の源流がある」と池田先生。この沖縄の“平和の心”に学びたい。(結)