小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百十二 2018年8月7日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6442)

 エイルウィン大統領は任期を終えて四カ月後の一九九四年(平成六年)七月、夫妻で日本を訪問し、その折には、創価大学で記念講演を行った。山本伸一とは、通算、三回にわたって会談し、これらの語らいなどをもとに、九七年(同九年)十月、対談集『太平洋の旭日』が発刊されたのである。この年は、「日本・チリ修好通商航海条約」が締結されてから、百周年の佳節にあたっていた。

二月二十五日夜、伸一は、チリから、ブラジルのサンパウロに到着した。
滞在中、ブラジルSGI自然文化センターに、世界三十二カ国・地域の代表が集った、第十六回SGI総会に出席した。
総会では、学会員こそ「前人未到の一閻浮提広宣流布の開拓者である」「大聖人直結の誇りを永遠に胸中に燃やしてまいりたい」と呼びかけた。そして、一人ひとりが人間として最大に輝き、その人間の光で家庭を、地域を、社会を照らし、人間と人間の友情を幾重にも結び広げていくSGIの人間主義の大道を、にぎやかに愉快に進もうと訴えた。
さらに、三月八日にはアメリカのマイアミへ移動し、ここでは研修会等に出席。その後、サンフランシスコで、科学者のライナス・ポーリング博士と四度目の会談を行ったほか、メンバーとの懇談・指導を続け、三月二十一日に帰国したのである。
伸一は、五月には、フィリピン、香港を訪問。九月から十月には、アメリカ、カナダを回り、アメリカではハーバード大学に招かれ、「二十一世紀文明と大乗仏教」と題して、同大学で二度目の講演を行っている。
翌九四年(同六年)は、一月から二月にかけて、香港、中国の深圳、タイへ。五月半ばからは、三十数日をかけて、ロシア、ヨーロッパを歴訪した。一日一日が、一瞬一瞬が、世界広布の基盤を創り上げる建設作業であった。
動くべき時に動かず、やるべき時にやらねば、未来永劫に悔いを残す。伸一にとっては、“今”が“すべて”であった。