法悟空 内田健一郎 画 (6411)
インドから香港を訪問した山本伸一は、デビッド・ウィルソン総督と会談するなどして、二月二十二日には帰国の途に就き、沖縄へ向かった。
このアジア訪問は、学会が「魂の独立」を果たして、最初の平和旅であった。仏法発祥の地であるインドでも、タイでも、香港でも、メンバーは、社会に、着実に信頼と友情の根を張り、活発に平和と文化と教育の運動を展開していた。伸一は未来を展望し、世界広布の新しい布石に全力を注いだ。
沖縄では、アジア各国・地域の代表が参加して、第一回SGIアジア総会が、二十五日から三日間にわたって、恩納村の沖縄研修道場で開催された。伸一は、連日、総会に出席し、メンバーを力の限り励ました。
総会二日目の勤行会では、インドのニューデリー付近に、創価菩提樹園を開設することを発表した。さらに、民衆の幸せを願う日蓮大聖人の御精神に照らして、信仰は自分自身が生き生きと、楽しく生き抜いていくためにあることを確認し、こう訴えた。
「信仰のことで、いたずらに“とらわれた心”になって、窮屈に自分を縛る必要は全くありません。また、気持ちを重くさせ、喜びが失せてしまうような指導をしてもならない。
勤行・唱題も、やった分だけ、自分の得になる。かといって、やらなければ“罰”が出るなどということはありません。それでは、初めから信仰しない人の方がよいことにさえなってしまう。
妙法への信心の『心』に、一遍の唱題に、無量の功徳があると大聖人は仰せです――そう確信し、自ら勇んで、伸び伸びと、喜びの心をもって仏道修行に励んでいく一念によって、いよいよ境涯は限りなく開け、福運を積んでいくことができるんです。信心は、決して義務ではない。自身の最高の権利です。この微妙な一念の転換に信心の要諦がある」
彼は、皆が創価家族として、信心の歓喜、醍醐味を満喫しながら、聡明に、楽しく、広布の道を進んでもらいたかったのである。