小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百三 2018年7月27日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6433)

 「タンゴの皇帝・プグリエーセ」と「タンゴの王者・モーレス」の“夢の共演”に、青年平和文化祭は沸き返った。
山本伸一は、一つ一つの演技に大きな感動を覚えながら、励ましと賞讃の拍手を送り続け、文化祭を記念して和歌を贈った。
「天も地も 喜び祝さむ 文化祭
アルゼンチンの 諸天は舞いけり」

翌十九日午後、第一回アルゼンチンSGI総会が、ブエノスアイレス市郊外の会場で開催された。これには全国からメンバー二千五百人が集ったほか、中・南米三カ国、スペインの友も参加した。
席上、同国最古の大学である国立コルドバ大学から伸一に、「名誉博士号」が贈られた。
フランシスコ・J・デリッチ総長は、授与の理由に、伸一が、「新たなヒューマニズム(人間主義)」を確立し、広げてきたこと、それによって、「東洋」と「西洋」の融合が可能であると知らしめたことをあげた。
「私どもは教えていただきました。人類は『文化』『宗教』の違いによる対立を乗り越えられるのだと。そして、異なる地域性や距離・時代の隔たりを超えて、友好を結ぶことができるのだと――この偉大な『平和』と『友愛』の普遍のメッセージは、あらゆる『国境』を越え、人類の無知が人間を制限する『心の国境』をも超えて、人類を一つに結びゆくものであります」
総会では歓迎のアトラクションもあり、アルゼンチンのフォルクローレ(民謡)などが次々と披露された。ギターをかき鳴らし、足を踏み鳴らし、陽気な歌と舞の輪が広がった。支部結成以来二十九年、待ちに待った伸一との出会いの喜びを皆が全身で表現した。
伸一は、総会の前後も、役員など、さまざまなグループとカメラに納まり、激励を続けた。この訪問で彼と出会い、励ましを受けた青年たちや少年少女が、二十一世紀の同国のリーダーへと育っていくのである。
「励まし」は、成長を促す力となる。