名字の言

〈名字の言〉 2018年2月13日

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学校のクラスに問題行動を起こす子がいる。どうするか。教育本部の友は言う。「“困った子”ではなく、“困っている子”と見るんです」▼最初から大人を困らせたいと思う子はいない。勉強についていけなかったり、集団生活が苦手だったりして、心ならずも問題行動に及んでしまう。つまり“困っている”のだ。視点を転換して寄り添い、適切な手立てを講じれば子どもは安心し、大きく伸びていくという▼釈尊の教団にいた「須梨槃特」も、仲間から見れば“困った人”。自分の名前すら忘れるほど物覚えが悪かった。複雑な修行についていけず、兄弟子によって教団から追い出されてしまう。だが釈尊は違った。涙ぐむ彼の手を優しく取り、励ました。「一緒に頑張ろう」。そして短い言葉で、ゆっくり教えを説いたのだ。師の心を知り、教えを愚直に実践することにおいて、須梨槃特は誰にも負けなかった。やがて、見事に悟りを開いた▼100人いれば100の個性がある。仏はその「違い」を尊重した。全ての人に法を弘めるために、思索と工夫を重ねたのである▼仏法では、慈悲と智慧は一体であると説く。どうすれば困っている人、悩んでいる人に勇気と自信を送れるか。心を砕き、祈り抜く限り、智慧は必ず湧いてくる。