いじめをなくすため、代表委員の少年部員がクラスメートに話し合いを呼び掛けた。そこで生まれたアイデアがある。「いじめ防止ソング」だ▼いじめがばからしくなるくらい、学校中が温かい雰囲気になる歌を作ろう――皆で歌詞を考え、校長や音楽教師の助力も得ながら完成。ことあるごとに歌ったり、給食中に放送したりした。奏功した取り組みについて、東京・福生市の「いじめ防止サミット」で少年が学校代表として発表。今月、市から「善行少年」として表彰された▼「いじめをなくしたい」という子どもたちの強い思いが、歌うという知恵に昇華した。どんな論理や訓示も、人の心を動かす歌の力にはかなわない▼アフリカで4000万本の植樹を推進したワンガリ・マータイ博士のエピソードは有名だ。警察の妨害や暴漢の襲撃にさらされた時、立ち向かう方法の一つが「歌」だった。森で木を植えながら皆で歌い、踊りだす。すると、武装した男たちの表情が柔らかくなり、緊迫していた空気も穏やかに変わったという▼御書に「音の哀楽を以て国の盛衰を知る」(88ページ)と。不安感や諦め、無力感が漂う現代だからこそ、人の心に希望の灯をともし、結び付ける歌声が必要だ。我らが学会歌を歌う意義の一つも、そこにある。(之)