小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 六十二 2018年6月7日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6392)

 学会は、日蓮大聖人の御遺命たる世界広宣流布を進めていくために、いかなる圧迫があろうとも、言うべきことは言い、正すべきことは、正さぬわけにはいかなかった。
 一九九一年(平成三年)の一月三日、全国県長会議が開かれ、宗門の問題が報告された。
 会長の秋月英介は、日蓮大聖人の御遺命を達成すべく、二十一世紀をリードする世界宗教にふさわしい広布の基盤を整えるために、①民主の時代に即応し、世界に開かれた宗門になってほしい②日蓮大聖人の仏法の本来の精神に則り、権威主義を是正し、信徒蔑視を改めてほしい③僧侶の堕落を戒め、少欲知足の聖僧という宗風を確立してほしい――との宗門への学会の要望を語った。
 山本伸一は、皆と共に勤行し、「使命の人、信念の人としての深い自覚をもって、見事な一年に!」とあいさつした。彼は、“何があろうが、世界広布のために、仏意仏勅の創価学会を守り抜かねばならぬ”と強く決意し、「平和と拡大の年」であるこの年も、年頭から、会員の激励に奮闘した。
 一月二十六日には、第十六回「SGIの日」を記念して提言を行った。
 折しも前年八月のイラクのクウェート侵攻を契機に湾岸戦争が始まり、一月にはアメリカを中心とした多国籍軍とイラクが交戦していた。提言では、湾岸戦争の早期終結を要請するとともに、国連のリーダーシップによる中東和平国際会議の開催などを訴えた。
 翌二十七日、彼は、香港・マカオ訪問に出発し、三十一日には、香港文化会館に、アジアなど十四カ国・地域の代表千五百人が集って行われた、SGIアジア会議総会に出席した。
 この席上、湾岸戦争の早期解決に向けて「緊急アピール」が採択された。アピールでは、国連主導による一日も早い和平の実現を念願し、イラクのクウェートからの撤退表明、戦闘再発防止策の構築、「中東和平国際会議」の開催、「緊急安全保障理事会」の招集を呼びかけた。
 信仰の炎は、平和への闘魂の炎となる。