小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百 2018年7月24日

 法悟空 内田健一郎 画 (6430)

 上院議長は、山本伸一との語らいの折、アルゼンチン議会で、伸一の平和提言などをもとにして、法律を作ったことを伝えた。
それは、新たに「平和の日」を設け、アルゼンチンの小学・中学・高校等で、平和について学び合い、諸行事を行うという法律である。
同法制定の理由のなかで、「ある優れた日本の思想家は、われわれが今日、生きている時代の挑戦すべきことを、以下のように要約している」として、一九八三年(昭和五十八年)の「SGIの日」記念提言の次の一節を引用し、伸一の名を明記している。
「二十一世紀は我々の眼前にあります。その輝かしい舞台で活躍する若い世代の前途を、戦火が焼き尽くすようなことがあっては断じてなりません。真に民衆が主役の時代を築くか否かは、すべて国民の手にかかっております。その賢明な進路の選択が、今ほど要請されている時はありません」
この法律は、八五年(同六十年)八月に発布されている。
上院議長は語った。
「『平和とは、戦争がない状態をいうのではない』とのSGI会長の訴えは、人間が人間らしい尊厳をもって生きられる世界をつくろうとのメッセージだと思います。幸い、冷戦は終わりましたが、世界には多くの戦争があります。私は、会長やSGIの活動のなかにこそ、それらを等しく解決するための『基準』と『価値観』があると信じています」
SGIへの世界の期待は、余りにも大きかった。生命尊厳の仏法を基調とした平和運動が、時代の要請となっていることを、同行した誰もが実感したのである。
翌十七日には、アルゼンチンの国立ローマス・デ・サモーラ大学から伸一に、「名誉博士号」「法学部名誉教授」の称号が贈られ、その授与式が行われた。また、席上、伸一の同国訪問をブエノスアイレス州の公式行事にすることを宣言した州議会の議決が発表されるとともに、同州の十の市から、「市の鍵」「市の盾」等が贈られたのである。

Translate »