【御書本文】
又天台大師の御弟子に章安と申せし人は万里をわけて法華経をきかせ給へり、伝教大師は二千里をすぎて止観をならい玄奘三蔵は二十万里をゆきて般若経を得給へり、道のとをきに心ざしのあらわるるにやかれは皆男子なり権化の人のしわざなり、今御身は女人なりごんじちはしりがたしいかなる宿善にてやをはすらん(乙御前母御書p1223 n1684)
【通解】
天台大師の御弟子の章安という人は、万里の道を踏み分けて法華経を聴かれた。伝教大師は二千里を経て摩訶止観をならい、玄奘三蔵は二十万里も旅して般若経を得られた。
道の遠さに、志があらわれるのであろうか。彼らは皆男子である。仏菩薩の化身した人の行為である。今あなたは女人である。権実の教判は知りがたい身である。いかなる宿縁を持った人なのであろうか。
【先生の指導から】
「道の遠き」とは、「困難な状況」ともいえよう。苦難に負けず、法を求め、法を弘め抜いてこそ、不動の幸福の軌道を開いていける。
「心ざし」とは、「奥底の一念」である。誰が見ていようがいまいが、自分自身の心はごまかせない。
自身の勝利へ、不動の決意があるか。広宣流布の大願が脈打っているか。師弟共戦の誓いがあるか─。
その一歩深き心が、人生を決めていくのである。