小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 大山 四十七 2017年2月27日

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 法悟空 内田健一郎 画 (6007)

 山本伸一は、記者団の質問に答えて、今後の自身の行動について語っていった。
 「学会としては、世界の平和をめざし、仏法を基調として、さらに幅広い平和運動、教育・文化運動等を展開していきます。私は、その活動に時間をあて、行動していきたいと考えています」
 伸一への質問は続いた。
 「会長交代によって、今後、学会と公明党の関係は変わりますか」
 記者たちの最大関心事は学会と政治との関係にあったようだ。伸一は微笑みながら、「それは、新会長に聞いてもらわないと。でも、これまでと同じでしょ?」と言って、隣の十条潔の顔をのぞき込んだ。
 十条は大きく頷いた。
 「やっぱり、同じですって」
 また、笑いが広がった。
 「これまで同様、学会が公明党の支援団体であることに変わりはないということです。公明党には、いちばん国民のために貢献していると言われる党に、さらに成長していっていただきたいというのが、私の願いです」
 彼は、すべての質問に、率直に答えた。
 午後八時前、記者会見は終わった。
 受付の女子職員が、心配そうな顔で伸一を見ていた。彼は、微笑を浮かべて言った。
 「大丈夫! 私は何も変わらないよ!」
 それから別室に移り、青年部幹部らと懇談した。彼は魂を注ぎ込む思いで訴えた。
 「私が、どんな状況に追い込まれようが、青年が本気になれば、未来は開かれていく。
 弟子が本当に勝負すべきは、日々、師匠に指導を受けながら戦っている時ではない。それは、いわば訓練期間だ。師が、直接、指揮を執らなくなった時こそが勝負だ。
 しかし、師が身を引くと、それをいいことに、わがまま放題になり、学会精神を忘れ去る人もいる。戸田先生が理事長を辞められた時もそうだった。君たちは、断じてそうなってはならない。私に代わって、さっそうと立ち上がるんだ! 皆が“伸一”になるんだ!」