襲い来る艱難に飲み込まれてしまうか。それとも、押し返し、打ち勝っていくか。人生も社会も、その真剣勝負といってよい。
いかなる試練に直面しようと、必ず乗り越えてみせる。のみならず、逆境を大転換し、それまで以上の境涯の高みへ跳躍する。この生命の大歓喜の劇を、万人に開いたのが「変毒為薬(毒を変じて薬と為す)」の哲理である。『大智度論』また天台大師の『法華玄義』を踏まえられつつ、濁悪の末法を生きゆく民衆のために、日蓮大聖人は宣言してくださった。
「能く毒を以て薬と為すとは何物ぞ 三道を変じて三徳と為すのみ」(984ページ)
どのような「煩悩」や「業」や「苦」であろうとも、それを変じて、仏の「生命」と「智慧」と「福徳」を勝ち開いてゆく究極の力こそが、南無妙法蓮華経なのである。
変えられぬ宿命など断じてない。ゆえに、決して嘆かずともよい、そして絶対に諦めなくともよい希望の光が、ここにあるのだ。 戸田先生