法悟空 内田健一郎 画 (6413)
山本伸一は、さらに沖縄の幹部に言った。
「若い力を大切にし、一人ひとりを抱きかかえるように、磨き、育てていくんだよ。放っておいては人は育ちません。
先輩は、後輩と一緒に祈り、共に御書を研鑽し、共に家庭訪問や弘教に歩き、徹底して信・行・学を教えていくんです。粘り強く面倒をみていくことが大事だ。
そして、この合唱祭のように、青年を表に立て、自主性、主体性を生かしながら、自由に、伸び伸びと力を発揮してもらうんです。
その姿が、そのまま、未来の沖縄創価学会の縮図になる。
後輩を、一人、また一人と、自分以上の人材に育て上げていった人こそが大指導者です。今、真剣に青年を育成し、それを伝統にしていくならば、二十一世紀の沖縄は盤石です」
若者たちの熱と力にあふれた歌声に合わせて、場内の参加者も、次々と踊りだし、「カチャーシー」の輪が広がる。
歴史や文化は違っても、“アジアの心”“平和の心”は一つに解け合っていった。
伸一は、マイクに向かうと、語り始めた。
「『花』がある。『海』が広がる。『光』があふれる。沖縄研修道場は、『春爛漫』である」――すると、大拍手が広がった。
それは、邪宗門の鉄鎖を断ち切り、晴れやかに創価の大行進を開始した、歓喜にあふれた皆の心と、見事に響き合ったからだ。
彼は、スピーチのなかで、フィリピンに研修道場を建設することや、香港に次いでシンガポールにも創価幼稚園の設立が決まったことなどを発表した。全てが希望に満ちていた。
また、かつて沖縄は、「万国の津梁」と呼ばれ、国々を結ぶ懸け橋の役割を担ってきたことを紹介。沖縄での、このアジア総会は、二十一世紀へと向かう、哲学と文化と平和の「大交流時代」の幕開けとなることを述べた。
語りながら伸一は、“アジアの民衆の幸福と平和を願われた戸田先生が、この総会をご覧になったら、どれほど喜ばれることか”と、心深く思った。