ある夏、池田先生は朝顔をたたえる詩を詠んだ。「今朝も/青い朝顔/紅い朝顔が/咲いている。/朝顔のように/朝になると/明るい笑顔/朗らかな清々しい/笑顔でいたいものだ」。朝顔は早起きだ。まだ薄暗いうちに開花し、人々の目覚めを待っている。毎朝、希望の便りを届ける「無冠の友」に似ている▼本年すでに2人の友を入会に導いた壮年がいる。昨年までは早朝から深夜まで運送会社で働きづめ。“いつ行っても会えない”と言われていた。だが、そんな壮年に毎朝、「行ってらっしゃい」と声掛けをしていたのが配達員のSさん▼約30年、配達を続けてきたが、今年初め、1年2カ月の闘病生活を経て亡くなった。壮年は自身の定年も重なり、「Sさんの分まで」と立ち上がった。現在、本紙の代配も務め、3人目の弘教にも挑戦中だ▼隣の地区には長年固辞していた本陣長(ブロック長)を快く受けた壮年がいた。彼もまた「早朝、Sさんに声を掛けてもらっていました。その恩返しのために」と。人知れず続けられた励ましは、確かに届いていた▼小説『新・人間革命』第29巻の「常楽」の章で先生は「あの人が通ってくれたから」と感謝される人生をと呼び掛ける。黙々と咲く朝顔のように、励ましを送りゆく日々でありたい。(進)