名字の言

〈名字の言〉 2018年8月9日  白い世界地図が長崎平和会館に張られていた。その中の14の国が青く塗ってある。

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白い世界地図が長崎平和会館に張られていた。その中の14の国が青く塗ってある。「核兵器禁止条約の批准国」だという。発効に必要な国数は50。地図の白さが道のりの遠さを表していた▼長崎の平和祈念像を造った彫刻家・北村西望氏。制作当時は「平和を説いても、ひま人の空言ぐらいにしか受け取らないような雰囲気が世間にあった」。造り進めると、無関心はさらに中傷に変わった。“裸体は駄目”“金の無駄”。アトリエに石も投げ込まれた▼単なる「記念」ではない。平和を「祈念」する碑なのだ――そう訴えつつ、百数十回も手直しした。次第に世論が動き、署名運動も。5年後、9・7メートルの巨像が完成した(『百歳のかたつむり』日本経済新聞社)▼この像について池田先生は、横にした右足は瞑想の「静」、立てた左足は救済の「動」に通じると述べ、祈りと行動の先に恒久平和があると強調した。先日の青年不戦サミットで、青年部は祈念像を見学。ヒバクシャ国際署名や対話運動など、行動を重ねることを誓った▼池田先生は、「必要なのは『変わらない』という『あきらめの壁』を乗り越える勇気だ。この勇気が光る希望の都が、私の大好きな長崎である」と。一人の対話の一歩が平和につながる。きょう9日は「長崎原爆の日」。(子)