美しき自然を、
守り、育むものは、
人間の豊かなる精神の沃野である。
人の心の浄化が、
鳥を、緑を輝かせるのだ。
人間と自然環境は、
相互に依存する関係にあり、
環境への暴力が、
やがて
人間に跳ね返ってくることを、
私たちは青年や子どもたちに、
教えていくべきである。
一切の問題は、
根本的には「人間」の問題だ。
自然環境を蹂躙する暴力も、
社会に紛争や
貧困をもたらす暴力も、
その根底には、
生命の尊厳を踏みにじり、
他者の犠牲の上に
自分の幸福を築こうとする
利己的な欲望が渦巻いている。
優れた科学技術も、
「慈悲」の精神がなければ、
人間を搾取し破壊する
危険な凶器に
変わってしまいかねない。
人類の平和と発展のためには、
「緑の革命」とともに、
「心の革命」が不可欠である。
人間を離れて、社会はない。
経済も、政治も、宗教も、
思想も、科学もない。
いな、すべての営みは
「人間の幸福のために」存在する。
仏教でも、「人間(正報)」と、
それを取り囲む
「環境(依報)」との
一体性を明快に説いている。
人間によって、社会は変わる。
世界は変わる。生態系は変わる。
ゆえに、
すべては「人間」を
向上させることから始まる。
新緑に包まれ、憩いのひとときを過ごす人々。木々の葉が、初夏の陽光に照らされていた。1983年(昭和58年)6月、池田大作先生がスイスのチューリヒを訪れた折、撮影した。
6月5日は「世界環境デー」。72年(同47年)のこの日に開かれた「国連人間環境会議」が淵源である。日本では6月5日を「環境の日」、6月を「環境月間」として、環境の保全に関するさまざまな行事が各地で行われる。
環境保全といっても、どこか“遠い世界の話”ではない。省エネに取り組む、ごみを減らす、買い物袋を持参する――こうした身近な行動から、変革は始まる。緑輝く6月、自らの生活を見つめ直す機会としたい。