名字の言

〈名字の言〉 2018年5月11日  側溝のふたから一本の草が伸びているのを見つけた。

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側溝のふたから一本の草が伸びているのを見つけた。こんな場所でも成長する植物の生命力に驚かされた▼雑草は“たくましさ”を象徴する一方、畑や庭の“邪魔者”という印象も強い。だが今、雑草の力を役立てる研究が進む。乾燥に強い能力を「砂漠の緑地化」に生かしたり、畑の栄養を奪う高い吸収力を「水質浄化」に活用したりするなど可能性は大きい▼「雑草とは、いまだその価値を見出されていない植物である」と米国の思想家エマソンは言った。この言葉に触れつつ、農学博士の稲垣栄洋氏は「雑草かどうかを決めるのは、私たちの心なのである」と(『雑草はなぜそこに生えているのか』ちくまプリマー新書)。“雑草”の烙印は人間の都合に過ぎない▼法華経に「三草二木の譬え」がある。天から降り注ぐ雨を等しく受けながら、草木はそれぞれの特性を発揮し、異なる花や実をつける。多様な草木は衆生を、雨は仏の平等な慈悲を表す。池田先生は「個性を愛し、個性を喜び、個性を生かそうとする――それが、仏の慈悲であり智慧です」と▼どんな人にも必ず、短所も長所もある。短所が、見方を変えれば長所である場合も多い。全ての人を生かし、伸ばそうという「心」があるかどうか。広布とは万人を輝かせる挑戦である。(江)