小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 暁鐘 三十 2017年10月5日

 法悟空 内田健一郎 画 (6191)

 周囲には木々が茂り、薫風が吹き抜けるなか、イタリア広布二十周年を記念する友好文化総会が始まった。
特設された舞台の正面には、太陽と、陽光を浴びて育つ動物や樹木、花が描かれている。その舞台で、ナポリのメンバーによる伝統舞踊をはじめ、ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ジェノバ、トリノのメンバーなどが、次々と歌や踊りを披露していく。
高齢の声楽家による生命力みなぎる独唱もあった。ベルガモのメンバーは、口笛と手拍子に合わせて、舞台狭しと陽気に踊った。
女子部は、山本伸一が「白蓮グループ」に贈った「星は光りて」を日本語で歌い、婦人部も「今日も元気で」を日本語で合唱した。日本からの親善交流団も声を合わせ、やがて全員の大合唱となって青空に広がった。
親善交流団は、「高知音頭」を踊り、「オー・ソレ・ミオ」(私の太陽)をイタリア語で歌い、大喝采を浴びた。
伸一は、各演目が終わるたびに、大きな拍手で賞讃した。
また、出演を終えたメンバーが、伸一のもとに駆け寄って来ると、「ありがとう。すばらしい演技でした」と、ねぎらいの声をかけ、固い握手を交わした。彼の席には人波が絶えなかった。未入会の両親を連れてくる青年もいた。目の不自由な少女の手を引いて訪れた父母もいた。
その一人ひとりの話に、真剣に耳を傾け、渾身の力を振り絞るように、激励と指導を重ねた。“この時を逃せば、もう、お会いする機会はないかもしれない”との強い思いが、伸一にはあった。一瞬一瞬が勝負であった。
友好文化総会は、イタリアの責任者である本部長の金光弘信のあいさつとなった。
彼はメガネの奥の目を光らせながら、全メンバーを代表して誓うように叫んだ。
「山本先生を迎えることができ、私たちは幸せです。今日はイタリアの新しい出発です。さあ、広布へ走りましょう! 勇気をもって挑戦を開始しましょう! 時は“今”です」

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