どうして難が来て安楽なのだろうと疑問に思うかもしれない。しかし実は、難と戦い、乗り越えてこそ、宿命転換があり、成仏がある。ゆえに「安楽」なのである。
例えていえば、悪い宿業という「ガン」の病巣を根本的に取り除いてしまうようなものと言えようか。
そのときは苦しくとも、一気に仏の大境涯を開ける。
地獄の苦しみぱっと消えて、と仰せである。
真剣勝負には、人生でも、スポーツでも、ここ一番という山があるものだ。
仏道修行にも山がある。それが三類の強敵との戦いである。
この山を乗り越えてこそ仏になれる。
そうした喜ぶべき大難を、たいていは逃げるか、恐がるか、避けてしまう。しかし、大難を避けて成仏はない。
今こそ仏になれるチャンスである。最高にありがたい時なのである。