忘れ得ぬ瞬間

〈忘れ得ぬ瞬間 創立者の語らい〉第11回 2019年4月30日創価大学・女子短大 2004年4月入学式

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創価大学・女子短大 2004年4月入学式
あえて苦難の道を進め!

2004年4月1日、創価大学の第34回入学式、創価女子短期大学の第20回入学式が、東京・八王子市の創大池田記念講堂で挙行された。
この時、シベリア屈指の最高学府であるロシア連邦・ブリャート共和国の「ブリャート国立大学」から、創立者・池田先生に「名誉教授」の称号が贈られている。
席上、池田先生は、同国の至言を幾度も紹介しながら、新入生の前途に、限りない期待を寄せた。
スピーチの冒頭では、ブリャート共和国のことわざ――「学問を修めていない人間が愚かなのではない。学問を修めようと努力しない人間が愚かなのである」を引用し、こう訴えた。

「現状」がどうかではない。「これから」です。いかに努力していくかです。そこに「未来」の一切が含まれているといってもいい。
きょうよりは、しっかりと腰をすえて、学問を修めていただきたい。
そのための大学です。
そのための学生です。

創大生、短大生は、断じて親不孝であってはいけない。立派に卒業して、お父さん、お母さんを安心させてあげてください。約束です。よろしくお願いします。

積極果敢な人に
次に、先生は「真実は清らかである。嘘は汚らわしい」との同国の英知の格言に触れながら、正邪を見破る力こそ真の知性であると語った。

現実の人間社会は、汚らわしい嘘が渦巻いている。なかんずく、正義のために戦う偉大なる人生には、卑劣な嫉妬の嘘が襲いかかってくる。それが方程式です。
そうした嘘を鋭く見破り、痛烈に打ち破る力が、真の知力であり、知性です。
いかなる時代状況にあっても、きちんと善悪がわかる。正邪を言い切れる。この判断基準を明確に持っている人が、「学問のある人」と言えるのです。

学問は、暗黒を照らす真実の太陽である。
学問は、正義の勝利の力である。
学問は、自身の向上と前進の源である。
学問は、幸福の土台である。
そして、学問は、成功者の、勝利者の剣なのである。

さらに、先生は「答える時は、まちがえる時もある。しかし、質問をする時には、まちがえることはない」との同国の名言を紹介し、「学問に望む姿勢」について述べた。

「積極果敢に恐れなく、質問すること」。それが学問の起爆剤だからです。
私も、幾多の世界の識者と対話をしてきました。
どんな方と会うときも、なんとか時間を割いて準備し、相手のことを勉強し、常に自分から質問することを心がけてきました。
良い質問をすると、相手も話しやすい。自然と語らいは弾み、心と心が結ばれる。
質問が大事です。先手必勝です。皆さんも同じです。
学生に遠慮はいらない。学問に妥協は禁物です。
どんどん先生方に質問してよいのです。

正義のため。平和のため。人民の幸福のため――この最も大切な目的に向かって、勇敢に戦い抜き、忍耐強く勝ち抜いていく。これが「青春の英雄」であり、「生命の勝利者」であります。
そのためには、心して良書を選び、徹底して読破していくことです。
恩師・戸田先生は、厳格に悪書を斥けました。「良書を読め」と常々言われた。
私も若き日、恩師から毎日のように聞かれました。
「今、何を読んでいるか」「どんな内容か」。忙しくて読み進んでいないと、たちまち見抜かれた。
一緒に旅行した時は、列車に乗っている間じゅう、読んだ本の話をさせられました。東北から東京までの旅の長かったこと――。
ともかく先生は読ませました。私を訓練しました。今思えば、幸せなことです。
訓練から逃げた人、努力を避けた人は、その時は気楽でいいかもしれないが、後になって苦しむ。
あえて苦難の道を、自分を鍛えるために、諸君は頑張り抜いてもらいたい。

知識と知恵を培え
最後に、先生は「知識を持ち、知恵を持った人」こそ真の幸福者であることを強調し、スピーチを結んだ。

知恵が大切です。
学問は、また知識は、知恵の水を汲み上げるポンプです。
知識だけでは幸福につながらない。知識と知恵があってこそ、幸福はあるのです。
知識イコール幸福ではない。それがわからないところに現代の不幸がある。
「あの人は、いい大学を出たから幸福だ」と錯覚するのは、知識と知恵を混同している証拠です。
知識を持ち、知恵を持った人――この人が、本当の意味の、幸福な人間であることを忘れないでください。
私は申し上げたい。
愛する、そして尊敬する、偉大なる学究の君たちよ、徹して学問を深めていきたまえ!
自分自身のために。
自分の勝利の道を大きく開いていくために。
皆を幸福にしていける、広大なるわが心の世界を、晴れ晴れと広げていっていただきたい。
ともかく、学問だけはしっかり励んでほしい。あとは自由です。学問は大変だろうが、すべては未来のためなのです。