忘れ得ぬ瞬間

〈忘れ得ぬ瞬間 創立者の語らい〉第2回 2018年5月23日 創価女子短期大学 1985年4月 入学式

「理想」「鍛え」「教養」の女性に

第1回入学式で、創立者・池田先生が一人一人を激励。新入生の胸元には、先生ご夫妻から贈られたエメラルドグリーンのスカーフとコサージュが(1985年4月、創価女子短大で)

 「女性教育の殿堂」たる創価女子短期大学の第1回入学式が行われたのは、1985年4月9日。スピーチに立った創立者・池田先生は、高貴にして崩れざる道を後輩のためにつくりゆこうと語り、短大生に万感の期待を寄せた。

短期大学に学ぶ2年間という歳月は、短いといえば短い。しかし、もっとも大切な人生の節目であると考えるならば、もっとも深く長い2年間と申し上げたい。この2年間に教授と学生が一体となって、4年制大学の卒業生以上の実力をつけることを、私は願望いたします。

土台を築く2年間
この日、池田先生は1期生に三つの指針を示している。一つ目は「理想」である。青春時代は、魂の奥深くに「理想」の苗を植え付けていかねばならない。自分らしく、理想を高く掲げ、着実な日々の研さんをと望んだ。

ある大作家の作品に「理想のあるものは歩く可き道を知っている。大なる理想のあるものは、大なる道を歩く……どうあっても、この道を歩かねば已まぬ。魂がこちらこちらと教えるからである」という私の大好きな一節があります。自分の生きるべき「理想」をつかんだ人は強い。それは、どんな迷路に踏みこもうとも、暗夜の灯のように、皆さんを前へ前へと確実に導いてくれると、私は思うからであります。

二つ目は「鍛え」である。先生は、フランスの思想家モンテーニュの言葉「運命はわれわれに幸福も不幸も与えない。ただその素材と種子を提供するだけだ。それを、それよりも強いわれわれの心が好きなように変えたり、用いたりする。われわれの心がそれを幸福にも不幸にもする唯一の原因であり、支配者なのである」(『エセー〈一〉』原二郎訳、岩波文庫)を紹介。2年間の「心の鍛え」が土台となり、40代、50代になって、見事な人生の花を咲かせていけることを強調した。

「鍛え」ということは、若い時代の特権です。脆弱な土台の上に建てられた建物は、すぐに崩れてしまう。と同じように、身体を鍛え、頭脳を鍛え、心を鍛える「鍛え」の青春なくしては、真実の幸福も、真実の満足もありえないと思うからであります。

これから、若き皆さん方は、それぞれの運命を背負って生きていかねばならない。つまずいたり、絶望したり、挫折したりすることもあるにちがいない。しかし、それはたんなる「素材」であり、「種子」にすぎないのであります。
それを、不幸と感じて人生の敗北者となるか、反対に、幸福への発条として生き抜いていくかは、いつに、モンテーニュの言う「それよりも強いわれわれの心」にかかっているのであります。

清き心を磨け
三つ目は「教養」である。教養とは、たんなる知識や技能の習得だけではない。自分らしい人間性と人格の輝きであり、見識の母体である。また、よりよい人間関係を築きゆく潤滑油であり、人間にのみ与えられた清き心の昇華の姿と行動であると述べ、先生はこう言葉を継いだ。

教養とは「高度な教養」また「一般的な教養」等々、さまざまに論じられていますが、端的に「洗練された常識」と、言えるのではないかと思います。正しいものを正しく見、美しいものを美しいと見ていける、清らかな広々とした健全なる心が、第一義となってくるのは理の当然でありましょう。

名著を数多く読み、接することも大切であろうし、よき友やよき先輩と、語り交わることも大切ではないかと思うのであります。

最後に、皆さん方が、本学のモットーである「知性と福徳ゆたかな女性」「自己の信条をもち人間共和をめざす女性」、そして「社会性と国際性に富む女性」に成長されんことを心から祈って、私のあいさつとさせていただきます。

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