小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 百十三 2018年8月8日

 法悟空 内田健一郎 画 (6443)

 「栄光・躍進の年」と定めた一九九五年(平成七年)の元日、山本伸一は、創価学会本部での新年勤行会でスタートを切った。
一月十五日「成人の日」、伸一は婦人部と新宿区の代表との協議会を開き、二十一世紀を担うリーダー像について語った。
「これから求められるリーダーの要件とは何か。それは、一言すれば、『誠実』に尽きます。決して威張らず、友に尽くしていくことです。正直さ、優しさ、責任感、信念、庶民性――そうした『人間性』を、皆は求めている。ゆえに、自分を飾る必要はない。自分らしく、信心を根本に、人間として成長していくことが大事なんです」
伸一は、未来のために、平易な言葉で、リーダーの在り方を語り残しておきたかった。
「仏法は、人を救うためにある。人を救うのは観念論ではなく、具体的な『知恵』であり、『行動』です。私どもの立場でいえば、以信代慧であり、信心によって仏の智慧が得られる。したがって、何ごとも『まず祈る』ことです。また、結果が出るまで『祈り続ける』ことです。『行動を続ける』ことです。
釈尊も、日蓮大聖人も『行動の人』であられた。私どもも、そうでありたい」

その二日後の未明、十七日午前五時四十六分ごろ、近畿地方を大地震が襲った。高速道路やビル、家屋の倒壊、火災等の被害は、神戸、淡路島など、兵庫県南部を中心に、大阪、京都にまで広がり、死者約六千四百人、負傷者約四万四千人という大災害となった。阪神・淡路大震災である。
伸一は、その報に接するや、即座に総力をあげて救援活動を進めるよう手を打った。
彼は、ハワイにある環太平洋地域を代表する学術機関の「東西センター」を訪問し、講演することになっていたが、出発を延期し、できることはすべてやろうと対応に努めた。
直ちに、学会本部と関西に災害対策本部が設置された。伸一は、最高幹部と協議を重ね、対策会議にも出席した。

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