池田先生のメッセージ

アメリカ創価大学第14回卒業式 池田先生のメッセージ 2018年5月28日 世界市民の連帯広げる英才たれ

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 一、私の生命であり、人類の宝である卒業生の皆さん、誠におめでとう!
 今、私の瞼には、大いなる理想と誇りを胸に、アリソビエホの丘から新たな飛翔を開始する、アメリカ創価大学(SUA)14期生、そして大学院新教育プログラム3期生の英姿が鮮明に映じております。
 喜びを共にされるご家族の方々、ご友人の方々にも、心より感謝とお祝いを申し上げます。昼夜を分かたず英才を温かく育んでくださった教員・職員の方々、本当にありがとうございます。
 そして、本日の式典には、ノーベル平和賞を受賞された「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の国際運営委員で、オランダの平和団体「PAX」の核軍縮プログラムマネジャーであるスージー・スナイダー氏をはじめ、多くのご来賓方をお迎えすることができました。創立者として、厚く厚く御礼を申し上げます。

黄金の日々を胸に

 一、大好きなSUAの愛唱歌「平和の大道」が誕生して10年。今日も、この歌と「希望の光」の歌を妻と聴きながら、式典を見守っております。
 愛する皆さんの晴れの門出にあたり、私は、これまでSUAにお迎えした宝の友との交流を振り返りつつ、「平和の大道」を開きゆく、三つの「一歩」について語らせていただきたい。
 第一に、「日々、若き命を蘇生させゆく希望の一歩」です。
 「アメリカの良心」と讃えられたノーマン・カズンズ博士を、私はSUAの旧ロサンゼルス・キャンパスに、2度お迎えし、幅広いテーマを巡って対話を重ねました。
 博士は、49歳の時に膠原病を患い、医師から「500分の1」しか回復の見込みはないと宣告されました。さらに65歳で心筋梗塞を発症しながらも、驚異的な意志の力と生命力で、見事な回復を勝ちとり、平和と人道の不滅の貢献を果たし抜かれた信念の闘士です。
 その博士が語られていました。
 「この世で最も偉大な力は、生命の再生能力です。人間は肉体、精神両面において、苦痛や試練を克服し、病を治癒する本然の能力を持っている。しかし、それ以上に素晴らしいものは希望の力です」と。
 人生は、どこまでも戦いです。目指す理想が高ければ高いほど、困難の峰も険しくなる。失意や落胆の時もあるでしょう。
 しかし、若き命には、限りない蘇生の力が秘められている。苦しい時こそ、SUAでの黄金の日々に、わが胸に灯した大いなる希望の火を明々と燃え上がらせ、負けじ魂の一歩を踏み出していただきたい。そして、またもう一歩と挑戦する。そこから必ず、新たな希望の大回転が始まるからであります。

麗しい人間交流

 一、第二は、「世界市民の友情を広げゆく誠実の一歩」です。
 去る3月、SUAの学生主催の第1回「平和の文化」シンポジウムで、広島出身の被爆者シゲコ・ササモリさんが「核兵器廃絶における青年の役割」のテーマのもと、基調講演を行ってくださいました。
 ササモリさんは、13歳の時に被爆し、10年後、後遺症のケロイドの治療のためにアメリカに渡られた方です。この手術のために奔走したのがカズンズ博士であり、ササモリさんは後に博士の養女となります。
 ササモリさんは、麗しい人間の交流を幾重にも結び広げてこられました。カズンズ博士の友人で、精神医学者のジョエル・エルキース博士も、ご夫人が体調の不良を訴えた折、ササモリさんが指圧を買って出てくれた時の思い出を、感謝を込めて紹介されています。
 目の前の人を、ただただ癒してあげたいと、被爆の痕跡を残す痛々しい指で、真心こめて指圧してくれる姿を見て、エルキース博士は涙を禁じ得なかった。この経験が、ご自身の研究に、重大なヒントを与えてくれたといいます。
 それは、“文化の相違を超え、しかも憎しみの歴史さえも超えた、生命と生命の触れあいにこそ、一切の病、一切の痛みを回復する重要なカギがある”との確信につながったのであります。
 博士は「価値あるもの、美しいものとの心の交流が、すべての人間自身に内在する美しい調和力を引き出す源となると信ずる」と論じておられます。
 わがSUAは、地域においても、そして世界にあっても、一人一人との闊達にして誠実な交流を通して、人間共和を創造しゆくスクラムです。「平和の大道」で高らかに謳いあげられているように、皆さんには「生命の絆 輝く」学友がいます。皆さんに熱い期待を寄せ、活躍を心待ちにしている世界中の父母たちがいます。
 その誇りも高く、民衆の心と心を結びゆく世界市民の友情と信頼のネットワークを、誠実にまた快活に広げていっていただきたいのです。

善性を信じ抜く

 一、第三に、「生命の善性を引き出す不屈の一歩」であります。
 2001年10月、核兵器廃絶へ人生を捧げられたジョセフ・ロートブラット博士が、SUAを訪問し、記念講演をしてくださったことは、永遠に忘れ得ぬ歴史であります。
 博士は、私との対談集で、ご自身が「なぜ、60年もの間、平和運動を続けることができたのか」について語られました。
 それは、「何よりも、人間の善良さを信じているからです」と。すなわち、人間は内在的に善であると信ずる哲学があればこそ、楽観主義を手放さず、戦い抜くことができたといわれるのです。
 この信念を託されたのが、我らSUAであります。博士をはじめ、偉大な先人に続き、そしてまた、今日お迎えした来賓の先生方とご一緒に、我々は生命の善性を信じ、自他共に引き出す不屈の一歩を、生涯、逞しく賢く朗らかに、踏み出していこうではありませんか!
 私の幸福は、皆さんが幸福になることです。私の勝利は、皆さんが勝利することです。
 愛する卒業生全員に、健康あれ! 福徳あれ! 勝利あれ! と心から叫び、祝福のメッセージとさせていただきます。
 誉れの卒業生、万歳! 本日は、本当におめでとう!(大拍手)