勇気づける――これこそ指導者の根本条件であろう。
たとえば職場。
部下を命令だけで動かそうとすれば、部下の体は従っても、心は従わず、動きは悪くなる。それを見て「彼は、やる気がない。自発性がない」などと決めつける上司がいる。部下の自発性を抑圧しているのは自分なのだと気づかない。
「力」に頼った分だけ「心」は痩せて鈍感になるのだろうか。
その反対に、こんな上司もいる。客とトラブルになり、おそるおそる失敗を上司に報告した。怒られるかと思ったら、「そうか!私の出番だな!まかせとけ!」。部下が上司を尊敬し、勇んで働いたことは言うまでもない。
みなに敬意を払い、勇気を贈ったほうが、うまくいくのだ。職場も、家庭も。国も、世界も。
そして、勇気を贈る一番のものは〈感謝〉ではないだろうか。「あなたがいてくれてよかった」「あなたのおかげで助かったよ」と。自分が必要とされているという実感が、人を元気づける。