法悟空 内田健一郎 画 (6403)
ガーナ大使は、さらに、山本伸一に対して、「貴殿は、実に、どの点から見ても、“真の世界市民”であり、日本にとって“最高の大使”です」と語った。
長い間、圧迫、差別などに苦しめられ、多くの困難と戦ってきたアフリカ大陸の歴史。そのなかで培われた鋭い眼による評価に対して、伸一は身の引き締まる思いがした。
続いて伸一に「教育・文化・人道貢献賞」が贈られると、祝福の拍手が広がった。同賞には、次のように授賞の理由が記されていた。
「教育、文化、人道主義の行動、民族の平等と人権の尊重、貧困の救済と精神的な励まし、人間性のための献身を通して世界平和を推進されている貴殿の功績を評価し、在東京アフリカ外交団は、こうした人類への奉仕のご行動の中に光る、貴殿の卓越した人間的資質をここに証明し、讃えるものである」
マイクに向かった伸一は、「今日は、感動的な“歴史の日”になりました」と述べたあと、学会は、創立以来、人間の尊厳と平等を守るために戦い、第二代会長・戸田城聖は「地球民族主義」を提唱したことを紹介。“民衆の勝利”へ進む「二十一世紀の大陸・アフリカ」との、一層の交流を誓った。
また、授賞式に出席したANCの駐日代表は、マンデラ議長から伝言を託されていた。
「SGI会長にくれぐれもよろしくお伝えください。ご健勝を心よりお祈りします」
伸一は、外交団の一人ひとりに感謝の言葉を述べ、固い握手を交わして見送った。
「教育の道」「文化の道」「人道の道」――これらの道が開けてこそ、真実の仏法の精神も広く世界に脈動していく。仏法の精神である人間主義、平和主義は、あらゆる壁を超えて、「人」と「人」を結んでいく。その実現をめざすなかに、仏法者の正しき実践がある。二十一世紀の世界市民運動がある。
“人権の勝利”へ、新しい時代の幕が、この日、厳然と開いたのである。各国大使の心こもる祝福は、堂々と「魂の独立」を果たした創価の未来に寄せる、喝采と期待でもあった。