彼は、数限りない大衆と一緒に虚空にあって、金色燦爛たる大御本尊に向かって合掌している自分を発見した

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「わかりたい、わかりたい」と独り言を言われて独房の中を歩きながら、寝ても醒めても法華経の原文と格闘された。
「夢でもない、現でもない…時間にして、数秒であったか、数分であったか、それとも数時間であったか、計りようがなかったが、彼は、数限りない大衆と一緒に虚空にあって、金色燦爛たる大御本尊に向かって合掌している自分を発見した」
「これは、嘘ではない! 自分は、今、ここにいるんだ! 彼は叫ぼうとした時、独房の椅子の上に座っており、朝日は清らかに輝いていた」
「今、眼の前に見る法華経は、昨日まで汗を絞っても解けなかった難解な法華経なのに、手の内の玉を見るように易々と読め、的確に意味が汲み取れる。それは遠い昔に教わった法華経が思い出されてきたような、不思議さを覚えながらも感謝の想いで胸がいっぱいになった」