法悟空 内田健一郎 画 (6367)
山本伸一が会談したのは、各国の大統領や首相などの指導者にとどまらず、学術・芸術・教育関係者など多岐にわたり、しかも、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、北・中・南米、アフリカと全世界に及んでいる。
一九九〇年(平成二年)の十二月から、翌年前半にかけて語り合った主な識者だけでも次の方々がいる。
オスロ国際平和研究所のスベレ・ルードガルド所長、カナダ・モントリオール大学のルネ・シマー副学長、米・ハーバード大学のジョン・モンゴメリー名誉教授、ユネスコのフェデリコ・マヨール事務局長、フィリピン大学のホセ・アブエバ総長、香港中文大学の高錕学長、アルゼンチン・パレルモ大学のリカルド・ポポスキー学長らである。
また、世界の指導者、識者と心を結び合っていくために、伸一が友好の対話とともに力を注いだのが、自らの真情や賞讃の思いを詩に詠んで贈ることであった。
中国では、中国仏教協会の趙樸初会長、故・周恩来の夫人である中国人民政治協商会議の鄧穎超主席、北京大学の丁石孫学長。ソ連では、モスクワ大学の故ホフロフ総長、対文連のテレシコワ議長、そしてゴルバチョフ大統領などである。さらに、インドのラジブ・ガンジー首相、アメリカの元国務長官キッシンジャー博士、アルゼンチンのアルフォンシン大統領、ペルー・サンマルコス大学のファン・デ・ディオス・ゲバラ元総長、イギリスのサッチャー前首相らにも詩を贈ってきた。
人間の心の奥深く、目には見えない黄金の琴線がある。詩の言葉は、その見えざる琴線に働きかけ、共鳴音を奏でる。やがて、それは、友情と平和の高らかな調べとなる。
「真に理想を抱く人には理想が味方しよう
真に正義を貫く人には正義が味方しよう
真に民衆を守る人には民衆が味方しよう」
これは、凶弾に倒れた夫の遺志を継ぎ、フィリピンの民衆のために立った、コラソン・アキノ大統領に贈った詩「燦たれ! フィリピンの母の冠」の一節である。