魔の特長
一 中心者を悪口
第一に法華経を捨てよとは言わないで、むしろ日蓮房から離れたらどうかと誘うというのである。
魔は多くの場合、あからさまに信心をやめよとは言わない。
すでに評価の定まっている法華経、今でいえば御本尊の悪口は口にしない。
まだ生きておられ、善悪さまざまに見られている大聖人から離れるように言うのである。結果的にそれが法華経を捨てることになっていく。心はすでに魔に破られているからである。
法の悪口ではなく、人の悪口! 魔の第一の行動パターン!
二 味方の顔をする。
第二にかたうどなるやうにてと仰せのように、味方のような顔で近づき、あなたのためを思って言うのですよと、甘く語らう!
しかも普段は全然疎遠で、どちらかといえば冷たく、会えばこちらを見下していたような人まで、この時ばかりは急に優しい声を出して、思いがけなく近づいてくる。
三 経文よりも人情
第三に誘惑も、正面きった理論的なものではなく、日蓮房についていたら大変でしょう。主君の覚えも悪いでしょう。と世間的な人情論にからめてくる。
こちらのほうが安心ですよ! そんなに好んで苦労することはないですか。
難ばかりの日蓮房のもとにいるよりも、もっと楽しく生きたほうが良いですよ。
等と経文に照らせば、まったく的外れの言を弄して動揺させようとする。
まさにたばかりである。
四 一人を端緒に
大魔がとりついた者達は一人を教訓して退転させたときはその一人をきっかけにして多くの人を攻落とすのである。
仏の勢力を全滅させたいが、それを表には出せない。
まず一人、また一人と堤にあなを開けるようにして、攻めてくる。ささいに見える動きの奥に大きな野望、策略がどす黒い渦を巻いている。
大魔のとりつきたる者ども!