法悟空 内田健一郎 画 (6431)
二月十八日夜には、第十一回世界青年平和文化祭が、「民族融合の大地に 希望の曲」をテーマに、男女青年部ら千五百人が出演して、ブエノスアイレス市のコリセオ劇場で、はつらつと開催された。
同市の公式認定行事となった、この文化祭には、ガリ国連事務総長も祝福のメッセージを寄せ、フロンディシ元大統領をはじめ、ブエノスアイレス市長、コルドバ大学、ローマス・デ・サモーラ大学、ラ・マタンサ大学の各総長や各界の代表、そして、中・南米十カ国のSGI代表などが出席した。
来賓の一人は、感慨無量の表情で語った。
「アルゼンチンは、ヨーロッパ各国から移住してきた人びとが大多数を占める国です。摩擦もありました。出身国への郷愁も強い。同じアルゼンチン人としての意識も薄れがちです。文化祭のテーマ『民族融合の大地』は、私たちの心からの願いなのです」
その融合の縮図を、この文化祭に見て、共感、感動したというのである。また、「SGIは、世界市民の創出をめざしている。こうした視点が今、必要だ」との声もあった。
文化祭は、会場を航空機に見立てて、アルゼンチンという大地から、「世界」「人類」の平和の大空へと旅立つ様子を表現していく。
ステージでは、フラッグ隊、鼓笛隊、コーラスグループなど、未来っ子の演技が続き、青年たちのエネルギッシュなモダンダンスや、世界三大劇場の一つであるコロン劇場の六人のダンサーによる、優美にして軽やかな踊りが披露された。
文化祭の圧巻は、アルゼンチンタンゴの大巨匠であるオスバルド・プグリエーセとマリアーノ・モーレスの共演であった。
出席者は、目を見張り、耳を疑った。まさに“世紀のイベント”であり、“夢の共演”であった。なかでもプグリエーセは、一九八九年(平成元年)十一月の引退公演で、七十年間のタンゴ人生を締めくくり、「もう舞台にあがることはない」と噂されていた。
伸一は、巨匠の厚情に、深く感謝した。