活動できること自体がうれしく、周囲のすべてが輝いて見えるようになった。
一枚の紙に横一本の線を引かせた父は、それに沿って悩み事を列記するよう命じる。
近いものから順に、一つ残らず悩みを書かせて、父が言う。
「悩みの線をタテに見なさい。そうすると眼前の悩みは一つ。それを乗り越えたら次の一つ、また一つと越えればよい。
あれもこれもと間口を広げ、それを一気に解決しようとするから、悩みに押しつぶされる。たった今の、自分の悩みにマトを定めて、一つ一つ力の限りぶつかっていけばよい。
まず「一つ」に挑む。それが数多くの悩みを連鎖的に解く鍵となる。
東京都日野市 新仏セリーン(エッセイスト)
法華経の英訳書
エキゾチックな風景や不思議な生き物タチが表現豊かに生き生きと描かれていて、ルーカスとスピルバーグのSF映画を見ているような効果を生んでいます。読み進むうちに私は、はるか遠い昔に生きながら、現代の私達に対して、その教えが時間と空間を超えて、生あるすべての存在に通用することを確信させるような不思議な物語を創りだした仏の知恵に、驚嘆させられました。竜や芳香、どこからともなく現れた超現実的な建造物など、まさに万人の胸中に宝の塔を見た経の王にふさわしい刺激に満ちた経典です。
生命は三世にわたるゆえに、過去の宿業が大きな悩みとして現れ出てくる場合もある。
しかし、「苦悩の因が自分の中にあるのと同じく、それをそのまま幸福へと転換しゆく力も自分の中にある。これが仏界の力である。
結局、人間とは、どこまでいっても、戸田先生が言われたように自分の中にあるものが出てきたものである。それ以上でも、それ以下でもない。
だからこそ、わが生命の大地を耕し、深く豊かに幸福の根を張らなければならない。
胸中の御本尊を開き、何ものにも揺るがぬ大樹の自分をつくらなければならない。
それが、境涯の上では優れた人間性や立派な振る舞いとなって表れ、生活のうえでは功徳、福運となって現れるのである。