御書全集 498ページ8行目~10行目
編年体御書292ページ5行目~7行目
広布の祈りこそ 一切の原動力
拝読御文
されば一遍此の首題を唱へ奉れば一切衆生の仏性が皆よばれて爰に集まる時我が身の法性の法報応の三身ともに・ひかれて顕れ出ずる是を成仏とは申すなり、例せば籠の内にある鳥の鳴く時・空を飛ぶ衆鳥の同時に集まる是を見て籠の内の鳥も出でんとするが如し
キーワード① 題目の偉大な功力
私たち学会員が日々、御本尊に向かって実践する一遍の祈りに、どれほど偉大な功力があるか。本抄で日蓮大聖人は、その題目の力用について、“妙法を唱えることで、自他共の仏性を呼び顕していくことができる”と教えられています。
拝読御文の後段で「法華一部の功徳は只妙法等の五字の内に籠れり」(御書498ページ)と仰せの通り、妙法蓮華経の五字の内に、法華経28品の一切の功徳が納まっています。
だからこそ、妙法を唱える功徳は無量無辺であり、ありとあらゆる衆生の仏の生命を呼び覚ますことができます。たとえ一遍の題目であっても、計り知れない功徳があるのです。
ほかにも、題目の偉大な功徳については、御書の随所で示されています。
「妙法蓮華経の五字を唱うる功徳莫大なり」(同13ページ)
「一度妙法蓮華経と唱うれば一切の仏・一切の法・一切の菩薩(中略)一切衆生の心中の仏性を唯一音に喚び顕し奉る功徳・無量無辺なり」(同557ページ)
題目を唱え抜き、仏の大生命力を湧き出す人に、断じて行き詰まりはありません。いかなる苦難に直面しようと、全てを悠々と乗り越えていくことができるのです。
偉大な妙法と、世界一の師匠に巡り合い、思う存分、御本尊に題目を唱えることができる――。人間として、これ以上の幸福はありません。そのことへの感謝の心を原動力に、自分自身と広布のさらなる飛躍を、共々に成し遂げていきましょう。
キーワード② わが生命の変革から
偉大な功徳のある妙法の題目であっても、その功力を十全に引き出していけるかどうかは、御本尊に向かう私たちの信心によって決まります。
第2代会長・戸田城聖先生は、そのことを、分かりやすく次のように教えられました。
「釣鐘を、楊枝でたたくのと、箸でたたくのと、撞木(鐘を鳴らす棒)でつくのとでは、音が違うだろう。同じ釣鐘だが、強く打てば強く響き、弱く打てば弱く響く。御本尊も同じだ。こちらの信力(信じる力)・行力(行じる力)の強弱によって、功徳に違いがあるのだよ」
日蓮仏法は、「おすがり信仰」でも「他力本願の祈り」でもありません。自ら誓い、願いを立て、戦いを起こす「誓願の宗教」です。わが目標を率先して定め、“必ず成し遂げてみせる”と御本尊に強盛に祈る時、不可能を可能にする無限の力を涌現することができます。
そして、私たちの祈りには、自らの生命の変革だけにとどまらず、あらゆる人々の仏性を呼び覚まし、周囲の人々の生命をもダイナミックに変革していける偉大な力があります。
真剣な祈りを根本に、自らが人間革命し、その連帯を広げることで、地域社会を明るく照らしていく――。これこそ永遠不変の世界広布の方程式です。
本年の総仕上げに当たり、私たちは広布の誓願を一段と燃やして、自他共の幸福を強く祈りながら、一人また一人と仏縁を結び、人間革命の連帯を大きく広げていこうではありませんか。
池田先生の指針から
己心の御本尊を讃嘆
南無妙法蓮華経と唱えることは、日蓮大聖人の顕された御本尊を最高に讃嘆することです。
それは同時に、わが己心の御本尊を讃嘆することであり、わが仏界の生命を讃嘆することです。そうすれば、みずからの名を呼んで讃えられた仏界の生命が、顕れて出てくるのです。
「よびよばれて」と仰せです。呼ぶ側も自身、呼ばれる側も自身です。外から与えられるのではない。自分のなかから呼び覚ますのです。御本尊との感応です。
その声の響きに応じて、全宇宙の諸天善神が動くのです。そして、われわれの生命を守ってくれるのです。
また、あらゆる仏も菩薩も歓喜するのです。「歓喜とは法界同時の歓喜なり」(御書735ページ)です。宇宙全体が歓喜に満ちあふれるのです。(『池田大作全集』第32巻所収、「御書の世界」)
◇ ◇ ◇
唱題に励むとき、大宇宙の根本の法則である妙法と、わが生命が融合する。小宇宙である自身の生命の扉が大宇宙に向かって全開し、全宇宙の頂点から一切を広々と見わたすことができる。宇宙に包まれていた小宇宙が、大宇宙を包みかえしていく――これが我らの祈りです。
悠々と大宇宙を旅しながら、生命を浄化できる。そして十界のあらゆる衆生の境涯を深く知って、幸福に導く「慈悲」と「智慧」が、こんこんと湧き上がってくるのです。
この祈りの大きさこそが、広宣流布の真髄です。(中略)
なかんずく、広宣流布の師匠と心のギアを合わせ、師弟の魂に燃える祈りを貫くならば、わが生命の奥底から、仏の力が発光していくことは間違いありません。(『御書と師弟』第2巻)