小説「新・人間革命」

〈小説「新・人間革命」〉 誓願 八十 2018年6月29日

 法悟空 内田健一郎 画 (6410)

 アジア訪問でタイを訪れた山本伸一は、チトラダ宮殿にプーミポン・アドゥンヤデート国王を四年ぶりに表敬訪問し、文化、平和、芸術について語り合った。国王は「文化の大王」と謳われ、芸術への造詣が深く、豊かな教養と学識で知られている。
 伸一は、一九八八年(昭和六十三年)に初めて会見した折、国王撮影による写真展の開催を提案した。それが実現し、八九年(平成元年)の東京富士美術館に始まり、アメリカ、イギリスと三カ国で行われ、好評を博した。
 今回の会見では、国王が作曲した作品の特別演奏会を提案。これは、翌九三年(同五年)十一月、創価大学の講堂で、国王・王妃の日本公式訪問三十周年を記念する特別演奏会として開催されている。
 さらに、三回目の九四年(同六年)の会見では、国王制作の絵画を中心とする特別展を提案し、これも、東京、名古屋、大阪の三都市で行われることになる。
 タイでも伸一は、同志の激励に終始した。
 励ましの心、励ましの行為こそが、仏法である。その人の持つ「法」は、振る舞いを通して、燦然と光り輝くのである。
 メンバーは、国王と伸一の友誼を誇りとして、社会貢献に努め、着実に信頼を勝ち取っていった。そして、タイ創価学会は、“微笑みの国”に“幸の花園”を広げながら、大きな発展を遂げていくことになる。
 伸一は、インドではラマスワミ・ベンカタラマン大統領、シャンカル・ダヤル・シャルマ副大統領、ガンジーの直弟子の一人であるガンジー記念館のビシャンバル・ナーツ・パンディ副議長らと相次ぎ会談した。
 また、ガンジー記念館の招請により、「不戦世界を目指して――ガンジー主義と現代」と題して講演している。
 インドのメンバーの文化祭にも出席した。友は大きく成長し、若き人材の森が育とうとしていた。釈尊生誕の地ネパールからも同志が集っており、皆と記念のカメラに納まった。伸一は、新しい夜明けの歌を聴く思いがした。

Translate »