妙法を弘める功徳は厳然と
今月は、「報恩抄」の後半を学びます。
池田先生は、本抄の講義の中で述べています。
「自己の使命に目覚めた民衆による『慈悲曠大』への行動が、必ず人類の境涯をも変えていく。そして、燃え盛る火宅のような世界を変革し、人が人を殺戮することのない、平和と不戦の世界を創っていく――それが、私たち創価の悲願です。SGIの使命です」
全民衆の幸福を願い、妙法を弘め抜かれた日蓮大聖人の崇高な御精神を命に刻んでいきましょう。(拝読範囲は、御書310ページ2行目「法華経・天台」~本抄末尾です)
本抄は、旧師・道善房の逝去の報を聞かれた日蓮大聖人が、建治2年(1276年)7月、身延で認められた御書です。修学時代の兄弟子であった、浄顕房と義浄房に送られました。
道善房は、大聖人が安房国(千葉県南部)清澄寺で仏教を学んだ若き日、師匠となった人物です。大聖人は、その恩に報いるため、浄顕房と義浄房に、本抄を道善房の墓前で読むよう伝言を添え、託されました。
本抄で大聖人は、師恩に報いるために、御自身の求道と弘教の御生涯を示されます。そして、「三大秘法の南無妙法蓮華経」の無量の功徳を明かされ、人類の未来を救う道を開いたことを宣言されます。
最後に、妙法流布の功徳は、旧師・道善房の身に集まると述べ、本抄を結ばれます。
日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外・未来までもながるべし、日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり、無間地獄の道をふさぎぬ、此の功徳は伝教・天台にも超へ竜樹・迦葉にもすぐれたり、極楽百年の修行は穢土の一日の功徳に及ばず、正像二千年の弘通は末法の一時に劣るか、是れひとへに日蓮が智のかしこきには・あらず時のしからしむる耳、春は花さき秋は菓なる夏は・あたたかに冬は・つめたし時のしからしむるに有らずや(329ページ3行目~7行目)
日蓮の慈悲が広大であるならば、南無妙法蓮華経は、万年のほか、永遠の未来までも流布するであろう。
日本国の一切衆生の盲目を開く功徳がある。無間地獄の道をふさいだのである。この功徳は伝教大師・天台大師も超え、竜樹・迦葉よりも勝れている。
極楽における百年の修行は、穢土(穢れた国土=現実世界)における一日の修行の功徳に及ばない。正法・像法二千年の弘通は、末法の一時の弘通に劣るのである。これは、ひとえに日蓮の智慧が勝れているからではなく、時がきたからである。
春には花が咲き、秋は果実がなる。夏は暖かく、冬は冷たい。すべて時がそのようにさせているものではないか。
掲げた御文の直前で大聖人は、天台大師が「根ふかければ枝しげし源遠ければ流ながし」との譬えをもって、“教えが深ければ深いほど、長い期間にわたって、多くの人々を救っていくことができる”という道理を示されたことを挙げられます。
この道理を踏まえ、掲げた御文では、御自身の不惜身命の闘争によって、妙法が永遠に流布し、全ての民衆を救っていくことは間違いないとの御確信を述べられます。
大聖人が弘められた南無妙法蓮華経は、宇宙と生命の根源の法です。ゆえに、未来永遠にわたり人々を救っていくことができるのです。
大聖人は、あらゆる大難を乗り越えて妙法を弘通されました。その大慈悲の闘争によって、「一切衆生の盲目」、すなわち人々の生命の根源的な迷いである「元品の無明」を打ち破り、民衆が不幸へ転落する「無間地獄の道」をふさいでくださったのです。
続く御文では、恵まれた環境である「極楽」で100年修行するよりも、苦難が絶えないこの現実世界である「穢土」で1日修行する方が、はるかに功徳が大きいと仰せです。人々の生命が濁り、乱れた末法で、妙法を弘める功徳は計り知れないとの意です。
私たちが縁する友の幸福を祈り、勇気を奮い起こして仏法を語っていく中に、功徳と福運が厳然と積まれているのです。
さらに大聖人は、御自身が末法万年にわたる広宣流布の大法を確立されたことについて、“時がそうさせるのである”と、仏法における「時」の重要性を強調されています。
現代にあって、大聖人の精神を受け継ぎ、世界広宣流布の「時」を創ったのが、創価学会であり、なかんずく創価三代の師弟です。池田先生は本抄の講義で「師弟勝利の新たな歴史を築きゆく『時』が到来しました。私は愛弟子の絶対の勝利を信じています」と述べています。
学会創立90周年の2020年へ、新たな前進を開始していきましょう!
大聖人の広宣流布の不惜の精神を、そのまま受け継ぎ、現実社会の中で実現しようとして立ち上がられたのが、創価の父・牧口先生であり、恩師・戸田先生であります。
仏勅の創価学会が出現したことによって、大聖人を源流と仰ぐ「広宣流布の大河」が、21世紀の世界へ滔々と流れていることは、厳然たる事実です。
世界広宣流布の基盤は、完璧に確立しました。
いよいよ、この大河を、広宣流布の大海として世界中に広げる時が到来しました。(『希望の経典「御書」に学ぶ』第3巻)
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「慈悲」の精神が社会のすみずみに浸透し、脈動していく時、どんなに世界は明るく変わることでしょう。
「人間主義の時代」「生命尊厳の時代」へ――私たち創価の民衆のスクラムと前進が、その夜明けを創り開いていくことは、絶対に間違いありません。(中略)
広宣流布とは、人類の苦を抜き去り、「慈悲の行業」を世界に広げる戦いです。平和と幸福の種を蒔き続ける永遠の挑戦です。我ら創価の連帯は、この「慈悲」の精神で、人類を結びゆくのです。(『勝利の経典「御書」に学ぶ』第22巻)
○…『勝利の経典「御書」に学ぶ』第22巻(聖教新聞社)
○…『希望の経典「御書」に学ぶ』第3巻(同)
○…『御書と師弟』第3巻(同)